広島空港に22日着陸した全日空機が、誘導路から外れて動けなくなった事故で、乗客は1時間半あまり機内に閉じ込められたが、機内での様子を動画に撮影した一人の乗客が証言した。地上に降りて、工事現場の段差に落ちる直前で機体が停止していたのを目撃し、「落ちていたら怖かった」と語った。
降りるまでを動画撮影
乗客の奥大地さんが異変を感じたのは、着陸後、ターミナルに到着直前だったという。

「着陸後、ターミナルへの移動中に急ブレーキがかかって“ガッと”とまった」
新千歳空港からの仕事帰りだった奥大地さん。

座っていた前方の窓からは誘導路に「段差」が見えたので、不安に感じたという。

「外を見ていて、工事現場があるけどなと思ったと同時にガーンと。大人ばかりだったので結構落ち着いていた。ちょっとザワッとはしましたけど」
その直後、機長からのアナウンスで「右側の車輪にコンクリート片がかんでしまって、動けない状況」と説明があった。
牽引車が使えずタラップで地上へ
機内アナウンスはこう続いた。

「このあと牽引車によってターミナルまで到着する予定です」
地上に作業員が集まってくるのが見えたので、「これで降りられる」と奥さんは安心したという。

「この時点では牽引車で動かすといっていて、20分くらいしか経っていなかったので良かったと思ったが、どうやら牽引車が入らないらしいと…このあといろいろと…」

トラブルからおよそ1時間半、乗客らは機内で待たされたが、結局は昔懐かしい移動式のタラップを動けなくなった機体に横付けして、乗客を地上に降ろした。
「段差に機体が落ちていたら…」
地上に降りて奥さんが目にしたのは、工事で低くなった段差の寸前で止まっていた機体。もし、止まらず落ちていたらと想像すると怖くなったという。

「あれ落ちていたら怖かった。スピード出ていたら怖かった。いまになって怖くなってきた感じ」
ターミナルに移動中の機体が急停止したのは、工事現場の前にあったコンクリート製の台座を乗り越えたためだったようだ。ここで止まったので間一髪で段差に転落することを免れたのだ。
着陸後の機体の移動を追ってみた。

新千歳から広島空港に着陸した機体は、滑走路から誘導路に向かった。しかし、工事現場を避けずに、まっすぐ突っ込んでいった。

当日のほかの着陸便の動きを見ると、工事現場を避けて、ターミナル側に曲がっている。

動けなくなった機体は、破損した5本のタイヤを交換し、24日未明に牽引車で駐機場に移動した。
国交省は今回の事故について人が死傷するなどの認定要件に該当しないので、重大インシデントにならないとしている。
(テレビ新広島)